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【8月の特集】
企業理念の解説をします

企業の大切な理念は、企業ごとに企業理念、経営理念、社是、パーパスなどさまざまな言葉でまとめられています。
言葉の違いも含めて企業理念について組織風土改革の視点で解説します。


企業理念の曖昧さ

組織風土改革では、その企業で働くすべての人たち(経営者、管理者、実務者、可能であれば協力会社の人たちも)が共通した価値観で働く組織を目指します。
そこで「その企業で働くすべての人たちに持ってもらいたい価値観を公式にまとめたもの」が重要となってきますが、これを(私は)企業理念と呼んでいます。

ただし、私が「企業理念」と呼んでいるものは企業ごとに「社是」「パーパス」「経営理念」などと呼び名はさまざまですし、公式な理念のない企業もあります。
「組織風土改革の取り組みをしよう!」とか、「企業理念を設定しよう!」もしくは「見直しをしよう!」といった場合、「企業理念とは正確には何なのか?」とか「さまざまな呼び名があるが、どれが正しいのか?」などの疑問が生じることになるでしょう。
その活動が本気になればなるほど、このモヤモヤした疑問が思考を邪魔し、活動が停滞することもあります。

私が勉強した限り、私が「企業理念」と呼ぶ公式な名称はないようです。
企業によって好きな表現で、好きにまとめるて活用するということでよいのです。
ただし、これでは企業理念の解説になりませんので、組織風土改革の視点で解説を進めていきます。


企業理念に含むべき内容

より良い組織風土づくりのために、企業で働くすべての人たちに浸透させたい価値観とは、次の2つです。

①企業活動/事業の目的
「仕事は給料を得るため」と考えたり、「より良い業績を得るために仕事に対して努力している」と考えてしまう人が多いと思いますが、それでは「自分中心(自分の給料のため)」「会社中心(会社の業績のため)」で仕事をしていることになります。
顧客からその姿を見ると、「顧客のためではなく、結局、自分(自分たち)のために仕事をしている!」ということですから、長期的には顧客からの信頼がなくなってしまいます。
より良い仕事をするためには「仕事を通じて、顧客・社会に対してどのような貢献をするのか」を重視し、常に意識しながら仕事をすることです。

つまり、企業理念に含めるべき最も重要な内容は、企業活動・事業の目的であり、それは「顧客・社会に対してどのような貢献をするのか」といった内容でなければなりません。
目的に視点をおけば・・・パーパスという呼び名を使い
その内容に視点をおけば・・・社会・顧客に対するその企業の「使命:ミッション」です
その内容を社会としてみると・・・企業がこの社会に存在する意義なので「存在意義」という呼び名となります。

②行動指針・価値観
顧客や社会にどのように貢献するのかをしっかりと意識していても、仕事の中でより適切な判断・行動ができなければ、より良い仕事ができるということにはなりません。
例えば「顧客の声をしっかりと聴く」、「技術動向をキャッチしながら技術を習得する」、「最高の仕事をするために職場の仲間との連携を重視する」といった仕事をする際の行動につながる判断基準が必要です。
この判断基準は「企業の使命を果たすこと」「競合には絶対負けないこと(この世でNo1)」の実現をイメージして必要な意識を言葉にしたものです。

このように、最高の仕事をするために働く人たちが常に意識してもらいたい判断基準となる言葉を「行動指針」や「価値観」と呼びます。

企業理念には、企業の使命(パーパス・ミッション・存在意義)と行動指針(価値観)の2つが必要で、この2つを企業で働くすべての人に浸透させることが、組織風土改革なのです。


経営理念と企業理念の違い

「経営理念」しかないという企業も多いように思います。
正確にいえば「経営」の「理念」ですから、経営者が重視する理念であり、働くすべての人たちに浸透させるものではありません。
ですので、私は「経営理念」と「企業理念」を別の扱いとしています。

では「経営理念」しかない企業が組織風土改革を行う場合、「企業理念」をつくる必要があるかという問題が生じます。
もし経営者が「この際だから企業理念をつくろう!」ということになれば、つくることもよいでしょう。

しかし経営理念は安易に変えるものではありませんし、企業理念と経営理念の2つが存在すると混乱も生じます。
一般的に経営で重視すべきことは、そこで働くすべての人たちも重視すべきことである場合がほとんどなので、経営理念を浸透させるということで構いません。

一点だけ問題となるのは、経営理念の中に「従業員を大切にします」「従業員がイキイキと働ける環境をつくります」といった内容が含まれる場合です。
これを社員に浸透させる場合には「従業員自身が働きがいを実感できる働き方を追究する」などの解釈をつけることが必要となります。


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