組織風土に関するよくある疑問

よくある疑問1

組織風土改革活動の成果をどのように把握したらよいですか?


組織風土改革のセミナーを行うと参加者から必ず出る質問がこの質問です。
この質問の回答としては、組織風土改革を本気で成功させたいならば成果指標を設定しない(定量的に成果を確認しない)ことをお勧めしています。
改善数やコスト・業務品質などの管理指標を設定すると、必ず部門間でその管理指標の競争となってしまいます。
その結果、管理者が社員に改善を強制することになり、組織風土を悪化させてしまうのです。

理想的な「組織風土改革活動の成果の測り方」は、経営幹部が職場を訪問し、社員と本音で話しをして風土の変化を感じることです。
できるだけ、定量化しないことが理想です。
なぜなら、部門間での競争が発生し、管理者が部下に強制をする可能性が高まるからです。

ただし、「どうしても定量的に把握したい」または「定量的に報告せざるを得ない」という場合には、従業員満足度調査(従業員アンケート)を行い、
  働き甲斐が感じられる職場か?
という質問を点数化して職場ごとに変化を見ていくことがよいでしょう。



よくある疑問2

企業理念、経営理念、企業ミッション、企業ビジョンなどいろいろあって、よく分かりません。


それぞれの企業で、さまざまな使い方をしているのが実態です。このため、共通した認識の定義がないというのが正確な回答かもしれません。
とはいうものの、各単語の意味(国語辞典で解説される意味)から、それぞれを次のように定義することができます。

企業理念が最も定義があいまいですが、弊社では企業理念を「企業に属するすべての人(経営者および全従業員)が仕事をする際に意識し、重要なものとして浸透するもの」としています。
経営理念は、あくまでも経営者が企業を経営する際の理念ですから、本来は従業員は意識する必要のないものです。
企業ミッション、企業ビジョンは、経営理念の構成要素と位置づけています。



よくある疑問3

企業理念は大切だと思うのですが、本当に有効なのかが実感できません。


多くの企業では、企業理念の見直しや浸透のためのイベントを行っていますが、一時的なブームのようになって、終わってしまいます。これでは、企業理念がお題目でしかなかったということになってしまいます。
企業の競争力強化において、最も重要なのは「企業ミッション」です。
企業ミッションは、企業の存在意義を示している言葉ですから、全社員がミッションを意識した良い仕事ができると、世の中から必要とされる企業になれるということです。
逆に、企業ミッションを果たせなければ、いくら一生懸命仕事をしていても、「存在意義がない」ということですから、その会社は倒産しても仕方がないということです。
企業理念は、社員の一人ひとりの心の中にある価値観になり、仕事を進めていく際のさまざまな場面での判断基準にならなければなりません。簡単なことではありませんが、これが実現できたとき、世の中から必要とされる企業となりそれは競争力のある企業となっているということです。



よくある疑問4

企業理念をどのように浸透させたらよいのでしょうか。


オリンピック選手が、「金メダルを獲得したい」と本気で思い、トレーニングに励むという状態をつくるイメージです。
誰もが「自分は成長したい」という欲求を持っています。この成長欲求につなげるように、企業理念を浸透させることがポイントです。
例えば、企業ミッションは、社会に貢献する内容を示していますから、企業で働くことは社会に貢献することであり、それは社会に貢献できる人材育成の場ととらえてもらえるように説明します。
このような価値観に訴えるような活動は、企業に属するすべての人が日ごろから意識し、日ごろからその価値観で行動することが大切です。
このため、職場ごとの朝礼や定例ミーティングの場面で企業理念に関する話題を行うようにしましょう。



よくある疑問5

社長が組織風土改革に関して協力的ではありません。


組織風土改革に関して、社長が指示を出して推進体制をつくってはいますが、積極的に組織風土改革をしようとしているとは思えないという声をよく聞きます。
よく考えてみてください。社長が組織風土改革に積極的であるならば、社長にとってとてもよい組織風土になっているはずで、会社として組織風土改革に取り組む必要はないのです。
社長が積極的でない会社だからこそ、組織風土改革が必要なのです。
組織風土改革を推進する担当者にとっては、改革を推進しやすい環境とはいえませんが、その環境を変えるのが推進する人の役割なのです。
社長にどんな発言をどんなタイミングに言ってもらうかなどを考え、少しずつでも社長を巻き込み、関心を高めるというのも推進する人の仕事だと考えてください。



よくある疑問6

いくら言ってもやる気を出さない社員に対してどのように対応したらよいでしょうか?


例えば、定年退職が近い人で、定年までのんびりと働ければよいと考えているような社員など、いくらモチベーションを上げるようなことを言っても反応してくれない社員がいるのですが、どのように対応したらよいでしょうという質問がよくあります。
このような人に対しての対応方法は、次の2つのステップで対応してください。
最初のステップは、その人にとって関心の高い仕事を与えることを検討します。
例えば、定年退職が近い人は、自分のノウハウを若手に伝えたいという欲求を持っている可能性が高いのです。
可能な範囲で、若手の育成に関わる仕事を与えることで、その人のやる気を引き出すということを試みてみましょう。
そのような対応をしてもうまくいかない場合、もしくはこのような対応が考えつかない場合には、その人のやる気引き出すということは後回しにしましょう。
組織風土改革では、やる気が出る社員を優先的に「やる気を引き出す」といった方が早く風土の変化を実感できるようになるからです。
やる気を出さない人を相手にしていると手間と時間ばかりかかってしまいます。



よくある疑問7

どのくらいの人数の意識を変えれば組織風土改革は成功と言えるでしょうか?


組織風土改革は、組織全員で取り組む活動なので、全員の意識を変えることが理想です。
しかし、人の意識(常識・正しいと思っていること・・・など)を変えることは簡単なことではないので、全員の意識を変えるというのはあくまでも理想です。
企業風土改革で求めるような「自律的な行動ができる社員」は、他の人にも影響力があります。
このため、組織風土改革を推進する人(事務局や経営者)にとっては、「職場に1人意識の高い人材をつくること」を当面の目標にしてください。
また、1人でも多くの管理者が、組織風土改革への理解・共感者になってもらうことも重要です。
組織風土改革に積極的な管理者の職場で、1人の自律的な行動をする社員がいれば、その職場の風土が良くなるのは時間の問題です。
よい職場が実現できれば、他の職場にもよい影響を与えますから、そのような良いサイクルが回り始める目安として、セミナーでは「対象者の5%の意識が変わること」を組織風土改革の目標にしてくださいと解説しています。


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